numacbooks

読書メモ。流れゆく感情や気付きを少しでも留める。

オリンピックの身代金 04

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共産主義っていうと、すぐに〝アカ〟とうしろ指を差されてね、体制側から露骨に警戒されるけど、人間の根源的な幸福を考えた極めて純粋なものなんだよ。共産主義とは、ぼくたちにとって、創出されるべきひとつの状態であって、それに 則って現実が正されるべきひとつの理想ではない。ぼくらが共産主義と呼ぶのは、実践的な現在の状態を止揚する現実的な運動なんだ」

この国のプロレタリアートは、歴史上ずっと支配層に 楯突くということをしてこなかった。我慢することに慣れきっているので、人権という概念すら持っていない。無理をしてでも先進国を装いたい国側にとっては、願ってもない 羊 たちだろう。

 

 一段と共産主義色が強くなっていき、ますます島崎には共感出来なくなってくる。社会への不満の昇華が暴力や犯罪となると子供染みている。

 

ヒロポンを手に入れたのは、快楽に味をしめたわけでも、万能感に頼りたかったわけでもなかった。ただなんとなく、世間の常識から外れていく今の自分に、違法物がふさわしい気がした。 拳銃 が目の前にあるなら、資金は別として、欲しいくらいだった。

 

下手に思想を拗らすとヤクザと変わらない。

 

つづく